Column

【nagare リノベーション物語 ①】

By 2026/01/101月 23rd, 2026No Comments

2017年 夏|古民家に出会う


2017年の夏、

町の移住窓口の担当の方を通して、

私たちは一軒の古民家を紹介していただきました。

 

10〜15年ほど空き家だったというその家は、

玄関を開けた瞬間に、

長いあいだ人の手が入っていなかったことが

はっきりと伝わってくる状態でした。

 

箪笥の中には下着が残り、

冷蔵庫には使いかけのソース。

壁に掛けられたカレンダーは、

ある月のまま、時間が止まっています。

廊下はところどころ傾き、

引き出しや扉を開けると、

中に溜まっていたゴミが

雪崩のように落ちてくるような状態…

決して美しい家ではありませんでした。

それでも、玄関を開けた先に広がる
通り土間やその佇まいを見た時に、

なぜか心に残るものがありました。

隣には広い畑があり、

その先には田んぼが広がっています。

特別な景色ではないけれど、

伊那谷らしい穏やかな風景でした。

 

古民家らしい佇まい。

静かな空気と美しい景色。

長い時間を過ごしてきた家ならではの気配。

 

その後、いくつかの地域を巡り、

いくつかの古民家も見て回りました。

けれど不思議なことに、

最初に出会ったこの家のことだけは、

折に触れて思い出されました。

いろいろな場所や家を見た末に、

私たちは一番最初に出会ったこの家を、

宿として生かすことを選びます。

 

私たちはもともと銀行員。

古民家改修の知識も経験もありません。

何から手をつければいいのか、

何も分からない状態でした。

まずは、家に残されていたものを片付けること。

nagare の時間は、そこから静かに動き始めました。